特集 ようびの日用品店&裸笑庵 OPEN!!
  学生さんとの暑い夏 ショールームプロジェクト!
文•写真/上村浩夢
   
 
 

今年の秋、ようびに新しく、ショップ兼ショールームがオープンしました。
その名も、『ようびの日用品店』。
実はこの空間は、岡山の県立大学のデザイン科の学生さんたちと造ったんです。
「えっ、どこからどこまで?」とよく言われるのですが、解体から設計、空間製作、
商品棚全て、なんです。時には、ご飯当番もお願いしたり(笑)

   
 
 
ビフォア   アフター
   
 

学生さんとの出会いは、実は、去年の夏に岡山県の美作市で開かれたアートフェスがきっかけでした。この時もプロジェクトを立ち上げ、学生さんとともに西粟倉の間伐材のスギ・ヒノキを使い壮大なスケールのモビールを作りあげました。この時、デザイン学科の一期生だった学生さんたちが、「今年も一緒にモノづくりをしたいです!!」と熱いメッセージをくださったのをきっかけに、今プロジェクトは動き始めました。

 
 
去年制作したモビール   まだ一期生だったみんな
   
 

今年は、またさらに新しいメンバーも増え、二期生になった学生さんたちがそれぞれが建築やプロダクト、グラフィックなど学部に進み、新たにものづくりについて学びたいと、ようびに来てくれました。
私自身、学生の時にモノづくりの楽しさを知り、モノが自分の手から生まれる素晴らしさやその難しさを、たくさんの人たちに伝えたい。そして、何より、モノをつくることの楽しさをみんなと分かち合いたい!という思いがあったので、私にとっても学生さんたちとプロジェクトに取り組めるのことは貴重な経験となりました。また、高校を卒業して就職した私にとって、同じ世代の人とのものづくりは、嬉しくもあり、ドキドキするものでもありました。

今年の6月、まず初めに取り掛かったのは、空間の解体。
このようびの日用品店は、もとは3つの空間から成り立っており、玄関、物置部屋、そして、トイレを解体し1つにしました。トイレは、ようび全社員6人に対して、広い部屋に5つもトイレがあったという。。。流石にみんなで連れションする仲ではございません(笑)この無駄なスペースを、発見できたのが一番のポイントです。

学生といっても作業内容は現場作業員さながらで、鉄骨やコンクリートで覆われた空間をかけやバール、斫り器まで使って壊しました。大島奈緒子からの指令で、絶対に山側に大開口を設けること、という指令があったんです。。。。絶対にって。ボードを剥がしたらコンクリートが出てきたとき、思った以上に頑丈な鉄骨が出てきたとき、正直、ビビりました。けれど、華奢で小さな女の子も斫り器をもって壊し、その姿はとても頼もしかったです。

   
 
  つなぎ姿も様になてきた
   
 
 
記念の掛矢打ち。奥に贅沢なトイレ   解体作業の休憩中にパチリと
   
 

ここから同時に空間のデザインと場所の詳しい配置を考えてもらい、解体作業をしながら間にプレゼンをしてもらい、それぞれに考えを発表してもらいました。
日頃、学校の授業でもプレゼン発表はあるとのことですが、数日に一回と、これだけ短期間で次々と要望に合わせて考えまとめ、発表したことは初めてだそうで、「これが社会人になったら当たり前になるんですね。。。」と学生と社会人の違いにすこし驚いているようでした。

それでも、初めは手書きだった図面をCADを使ってかけるようになったり、パースをもっと見やすくするために寸法だけではなく絵の中に人物をいれて分かりやすくしたり、どんな小さなことでも身につけ成長している学生を見ていると、私自身、もっと頑張らなきゃ、と素直に思いました。

   
 
 
何度も何度も打ち合わせ   ノミも使える女子大生!
   
 

そして、いよいよ造作工事へ。
実は、私にとっても空間の制作を任されたのは初めてで、日頃は家具職人。建築というのは正直、未知の世界でした。家具をつくるときに気にするコンマ何ミリの世界も建築になると通用しなかったり、壁の納まりはどうなるんだろうか、床はどうか、壁は、、、???電気配線に水回りに、、、、もう、頭は爆発寸前。

私にとって大きな壁だったのは、指示を出してみんなをスムーズに動かすことです。
なんせ、初めて現場にはいって作業する学生さんなので、指示を出すにも、一つ一つの単語から伝わりません。
上村「インパクトでこのビスをもんどいて下さい。」
学生「。。。はい?」

一つ一つ説明をしてからやっとスタートになります。
今まで当たり前のように使っていた言葉が伝わらないのは、とてももどかしく、改めて、人に物事を伝える難しさを知りました。いつも、立ち止まって教えてくださる、なべさん(渡辺)の苦労が、少しだけわかった気がします。

   
 
  最後に取り付いた壁の棚。
   
 
  記念に撮影!オープン前夜のことでした(笑)
   
  ときには、心配になって村の大工さんや土建屋のおじいさんが応援に来て下さったり、「みんなで食べてね。」と村の方々から、たくさんのお野菜をいただいたり、、、本当にたくさんの方々に助けられ、感謝してもしきれないほど。
学生さんたちの直向きな頑張る姿に励まされ、仲間に助けられて、乗り越えられたこのプロジェクトは、私にとっても、とてもかけがえのないモノとなりました。
   
 
  たーーくさんの差し入れを頂きました!
   
 

嬉しかったのは、オープニングイベントに来てくれた学生さんの言葉。
「また、来年も一緒に新しいプロジェクトをしたいです!!」

学生さんたちとの約束を果たすためにも、これから社会人になる人たちにちゃんと夢を与えるためにも、私自身が力をつけてパワーアップしなければ!!そして、このお店をしっかり守りたいと思います。

   
  最近、グーグルマップのストリートビューで見れるようになりました!ちょうど、外観のビフォーが見えます。何年後かは、もっと素敵になってるといいな。
   
  学生さんたちとの約束を果たすためにも、これから社会人になる人たちにちゃんと夢を与えるためにも、私自身が力をつけてパワーアップしなければ!!そして、このお店をしっかり守りたいと思います。
   
   
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  ●<うえむら・ひろむ> 木工房ようび
   
 
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