隔月連載
  スギダラ初心者講座第2回:なんで急に杉なんでしょう。杉って・・・何?
文/写真 袴田彩子
   
 
 

杉って急に言われても、何のイメージも思い浮かびません。。。というアナタ。
きっと大丈夫。日本に暮らしたことがあるのなら、どこかできっと目にしています。
青々と山を染める杉林。
私達を包む建材など。

   
 
 

高速道路を走れば、新幹線に乗れば、車窓には杉の山。(これは出雲)

   
 
 

春〜夏に広葉樹が新緑(黄緑)のころは、針葉樹の杉(濃緑)との対比が鮮やかです。

   
 
 

とはいえ、昔の方が生活と杉は密接でした。

例えば、鉄筋やコンクリートのない時代、建材として杉は今より利用されていました。

日常生活の中では、今では段ボールやプラケースを使うところで杉を使っていました。例えば、「普段使わない食器を入れておく箱」だとか「おひな様をしまう箱」だとか。

農業でも杉が大活躍していました。歴史の教科書でおなじみの「唐箕(とうみ)」や、水を運んだり馬のエサを入れたりした、さまざまな桶(おけ)。
そして各地区の杉の特性を活かしたものも作られました。宮崎では、油分が多くて粘りが強い飫肥杉の特徴を活かして舟が作られていました。

例えば杉フローリング。

   
 

参考1)「飫肥杉の船を伝え、生かすのか。」日南支部オビダラ日記(2013年6月)
杉は単なる素材にスギず、通りスギるだけにしていいのか、という提言。

   
   
 

そんな日常の様子は、時代劇を見ることがあればイメージがつくかもしれません。

しかし実は、杉と日本人のつきあいは数百年どころか、数千年の単位で親しんできました。「遺跡」と呼ばれる場所からも、杉の建材、杉の農機具、果ては杉の楽器まで出土しているのです!

   
 

参考2)静岡市周辺の観光ガイドマップ
静岡県の登呂遺跡で杉製の琴が発見されました。
浜松市の楽器博物館ではレプリカを展示中です。

   
 

そうです、杉、そして木への愛は、日本人のDNAに刻み込まれているのです!
DNAというと大げさかもしれませんが、少なくとも文化の一端ということは「ほっとする"木のぬくもり"」というフレーズを誰もが疑問に思わないという点に表れています。対比として、暑くて乾燥している国・パキスタンのあたりでは「ほっとする"石のひんやり感"」となるそうです。
ああ、振り向けばそこに杉。

   
 

ところで、スギダラの創設期とも言える時期に、私(キャッシー)は、スギダラ三兄弟の次男と三男が仕事をしているチームに在席(ほんとに席だけもらってました。所属は別部署)していました。うねるように活動を始めたスギダラに対して「杉だら? なにそれ?」と杉も檜も(右も左も)分からないまま、ただただ、杉家具が次々と増えていくさまを目撃していました。いや、杉家具になる2mの柱なんかを8階まで運び上げる手伝いをしていました。
次男と三男は、会社の生業であるオフィス空間の構築提案の中に、求められてもないのに"勝手に"杉の魅力をプレゼンテーションし、お客さんを巻き込み、次々に杉家具を持ち込んでいました。そしてなんだか結構評判でした(賛否両論だったでしょうが、「賛」の人がいたことは確かです)。特に、最新のITを扱うような企業さんで新鮮さをもって迎えられたという印象があります。お客さんがそうやって喜んでいる姿に、私はかえってびっくりしていました。

   
 

参考3)「スギダラ・インテリアの戦い」スギダラ家奮闘記/第12回より(2006年7月)
あれよあれよと、都会のオフィスに杉家具が増殖。

   
 

してまた、"勝手に"持ち込んで「やってもいいよ」と言われた程度ですから、予算がないことないこと。なので、現場への搬入やら、リブ板の大量釘打ちなんかはスタッフ総出、果てはお客様のご好意に甘えてお客さんにも釘打ちを手伝ってもらったりしていました。
運ぶことや釘打ちに特殊な技術はいりません、気合いさえあればOK! 大きな杉材はとてつもなく重いし、打つべき釘は無限なまでに大量だけどね!!

そうやって、わいわいと杉家具を設置することが増えていき、やがて、杉家具の設置と言えばみんなでわいわいやるやつでしょ!? という感じになっていきます。いっしょに汗をかいてご飯も車座で食べて、このリブ打ち本当に今日中に終わるのか??と焦り出すつらい時間も一緒に乗り越え(笑)、完成の達成感をみんなで味わう日々。これがけっこう楽しいんですよね!

   
 

参考4)スギダラな人々探訪/第43回 「スギダラ本部移転!(その2)」(2010年3月)
身内のオフィスですが、リブ打ち作業が疑似体験できるほどの詳細レポート。

   
 

お客様に引き渡しした後も、彼らが自分たちのお客さんに「この杉のリブ、自分たちで打ったんですよ! すごい量でしょ!(笑) もうスタッフ総出! きつかった〜〜!(笑) このリブの間隔を揃えるのに性格が出たりしてね〜」なんて聞かれてもないのに説明しちゃう風景がしばしば見られたとのこと。

杉も檜も分からなかった私にも、なんとなく感じるものがありました。
ん?? もしかして、これが杉の底力?! 

   
 

−次回へ続く

   
   
  ●<はかまた・さいこ> またの名をキャッシー。スギダラ天竜支部広報宣伝部長。 6年間の株式会社内田洋行勤務を経て、Uターンにて現在デジタルセンセーション株式会社勤務。
   
 
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