特集 第三回スギダラ全国大会 in 吉野
  スギダラ全国大会は地域の未来をつくる原動力 〜「日本スギダラ文化」の誕生を目指して〜
文/ 中井章太
   
 
 

 2年前、秋田で開催された第二回スギダラ全国大会に初めて参加させていただき、体調万全ではない菅原香織さんと、それを支えるスギダラ仲間の姿を目の当たりにし、これこそが今、必要なスピリットではないか、それを感じたからこそ、秋田の地で、石橋君と第三回スギダラ全国大会の開催地を引き受けさせていただいたのだと思う。
 吉野ちょぼくブックの発刊を記念して開催された吉野貯木まち歩き、スギダラ活動の繋がりから生まれた愛・学習机プロジェクト「吉野モデル」の事例発表など、スギダラ全国大会in吉野を待っていたかのように開催されたこのイベントは、吉野の歩む道を見てもらう意味でも良いタイミングだったように感じる。吉野貯木は単なる製材工業団地ではなく、吉野の暮らしそのものを創ってきた夢の場所でもある。スギダラの活動もよく似たところがあるように思う。杉(木)を通した生き方、地域の暮らし方を見つけ出す場であり、出会う場である。時代や形は変わっても、そこには人や情報が集まる仕組みがある。そして何より無垢の楽しさがある。

   
 
  木の町吉野を象徴する吉野貯木
   
 
  吉野貯木の美しい風景
   
 
  南雲さんのお気に入り吉野貯木唯一の炭化工場
   
 
  日本一の丸太と人が集まる場所を目指して! 原木丸太市の風景
   
 

 私は林業を考える時、常に地域の暮らしが豊かになる林業とは何か、自問自答しながら、様々な事業や活動に取り組んでいる。そのことを教えてくれたのがスギダラの無垢な活動であり、南雲さんや若杉さんを中心とする無垢な心を持つスギダラ仲間である。
 今回スーダンからご参加いただいた川原さんの行動も、若杉さんのスギダラケな無垢の心に引き寄せられ、偶然か必然か、二度目の吉野訪問になったのだと思う。その必然が、金峯山寺宗務総長である田中利典さんとの出会いに繋がったのでしょう。

   
 
 
川原尚行氏(右端)と田中利典氏(右から2番目)が金峯山寺にてご対面   修験道文化の象徴 金峯山寺蔵王堂
   
  「まさにスギダラは地域の未来をつくる原動力の場である。」
   
 

 日南から始まったスギダラ全国大会、秋田、吉野を経て、次回は西粟倉へ。
 時代は流れても、それぞれの産地で築いてきた歴史は変えることはできない。変えることのできない歴史に価値があることを教えてくれるのも、スギダラ全国大会という無垢な人の出会いの場なのかもしれない。

   
 
  無垢な人の象徴!内田さん!
   
 
  スギダラ全国大会in吉野 懇親会集合写真
   
   特に林業は時間という価値を一番積み上げる必要がある産業であり、その証が年輪という見える形になって人間社会に現れる。20年、50年、100年という年輪の価値を、どのように生かすか、「年輪に生かされる」という視点にたって物事を考えられるようになった時、本当の意味で、地域の暮らしを豊かにする林業が芽生えてくるような気がする。
 年輪には、地域の自然・歴史・人の想いがいっぱい詰まっている。
 
  受け継がれてきた吉野杉の年輪
   
   その想いが地域に産業と文化を育み、我々の暮らしに深く関わっていたからこそ、日本は「木の文化」と言われてきたのでしょう。
 今回吉野で開催された全国大会を通して、少しでも地域が歩んできた「木の文化」に目を向けていただき、そこから新しい木の文化「日本スギダラ文化」が各地域に広がれば、なお嬉しいですね。
そういった意味で吉野は、樽丸文化と修験道文化の記憶を呼び覚まし、吉野貯木に多くの「人と情報」が集まる集積地を目指して、また新たな一歩を踏み出したいと思う。
   
 
  行政も動き出した吉野杉の辞令書!
   
   
   
  ●<なかい・あきもと> 林業家。中神木材 代表。吉野町議会議員。
山から街まで、川上から川下までを考えた林業経営を模索し、吉野林業の再生を目指す。
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved