レポート 京都、杉屋台自転車で野点
  杉屋台自転車が生まれた背景
文/ 河野健一
   
 
 
 

 日南飫肥杉デザイン会では、2009年にobisugi design シリーズを商品化し、次のSUGIFTシリーズを2011年に発表した。そのSUGFTシリーズの商品開発中だった2010年に、実はもう一つのプロジェクトが同時進行していた。それがYATAIシリーズだ。
  2011年1月に開催した伝説(ネーミングが伝説?笑)のイベント「杉がいいや!in シーガイア」では、このYATAIシリーズ試作品も一緒に展示され、什器などとしても活躍した。どんなアイテムがあったのかというと、「連結結傘屋台(れんけつけっさんやたい)」「どこでもテーブル」「機内もつこみ屋台」、そして「自転車創業屋台」(ボクは最近まで「自転車操業屋台」だと勘違いしていた。笑)という、とてもソソラレル屋台集団だった。

   
 

 そういえば当時、日本全国ヤタイダラケ倶楽部(通称「ヤタダラ」)も発足し、ボクは会員番号12番をいただいた。このヤタダラのブログで、2009年1月にこう発表された。
  「ヤタイとは人と人を繋ぐ、移動式の新しいコミュニケーション装置です。状況に応じた多様なデザインを施すことで、祭りやイベントのみならず、日常の生活を生き生きと楽しいものに変えていくことが出来ます」
  日南飫肥杉デザイン会のYATAIシリーズ開発も、ごくごく自然に当たり前に、このヤタダラの流れの中にあった。なにせ、ヤタダラのボスとobisugi design デザインチームのボスは同一人物なのだから。

   
 

 「杉がいいや!in シーガイア」のパンフレットでは、YATAIシリーズをこう紹介している。「懐かしくて新しいコミュニケーションの場となるYATAIシリーズを開発中」と。その後、大人の事情でYATAIシリーズの商品開発は休止している。試作した「連結結傘屋台」や「機内もつこみ屋台」は内田洋行のイベントで活躍したり、「どこでもテーブル」はオビダラリーで今でも現役で使われたりする中、「自転車創業屋台」は薄暗い倉庫の中で眠っていた。そこへ京都の天江大陸さんから月刊『杉』編集部へ連絡が入ったのだった。

   
   「スギダラのホームページで自転車屋台の写真を拝見しまして、目を奪われました。 私は茶の湯文化の発信を試みています。どうすればお茶が身近に気軽になるかを考えていました。今年に入り野点(外でお茶)をしようと思っていた矢先にスギダラの自転車屋台を見つけまして、これだ!と本当に飛び上がりました。鍋の変わりにお茶用の釜を積み、京都を走りながら鴨川沿いでお茶を点てたいなと想像しております」 (天江さんのメールより抜粋)
   
 

なかなかいませんよ。こんな風に飛び上がって、妄想して、飛び込んでくる若者は。すぐに感じましたね。スギダラと同じ香り・ソウルを。もう即答で「レンタルOK」でした。
そして期待以上の素敵な使い方。移出(貸し出し)してアイデアを日南に移入できたという、とてもスギバラシイ出来事でした。杉のおかげで、また新しい繋がりが出来ました。

   
 
  2011年に開催された「杉がいいや!inシーガイヤ」のパンフレットより。数々の屋台が発表された。「自転車創業屋台」のデザインは若杉浩一さん。
   
   
   
   
  ●河野健一< かわの・けんいち > スギダラ飫肥支部・広報宣伝部長日南市役所・飫肥杉課サポートメンバー
   
 
Copyright(C) 2005 GEKKAN SUGI all rights reserved