連載

 
スギダラな人びと探訪/第7回
文/写真 千代田健一
杉を愛してやまない人びとを、日本各地に訪ねます。どんな杉好きが待ち受けているでしょう。
 


月刊杉読者の皆様

 あけましておめでとうございます。本年もひとつヨロスギお願い申し上げます。

 日本全国スギダラケ倶楽部を発足して1年と半年が過ぎましたが、その間いろんなことがありました。会員数は250に迫り(平成18年1月現在)、ちょっとした規模のコミュニティに成長いたしました。昨年の7月からはこの月刊杉WEB版を発刊し、今回で7号目になります。発行日がずれ込んでしまう月もありましたが、月刊の名に恥じぬよう何とか毎月発行できたことは執筆していただいた方々と南雲監督、内田編集長の手抜きをしない努力の賜物だと思います。もちろんこの月刊杉WEB版を愛読してくださり、支えてくださる皆様のおかげであります。

 WEB上での活動を中心に展開する一方で、杉の産地ツアーを実施し、リアルな場で会員の皆様を始め、地域の方々と素晴らしい出会いを持てたことはスギダラ倶楽部にとってかけがえの無い財産となっています。

 実はこういったリアルな場での活動の度に飛躍的に会員が増えてゆくんです。どのツアーでも初めてお会いする会員の方が必ずいらっしゃって、そこで知り合った方々はそれ以降、精力的に活動していただいています。と言うかツアー参加を機にBBS等の場に出て来ていただけるようになったり、月刊杉の原稿を書いてくださったり、友達や仕事仲間に紹介していただいたり……、要は、本格的に会員としての活動を開始してくれるようになることが多いのです。まあ、そりゃそうですよね。実態がどういうものかわからずに、BBSなどに投稿できる人の方が少ないんだと思います。ある会員の方からは「最初は入りにくい雰囲気だった」「みんなその分野の専門家の方が多いし……」「常連さんが多いので割り込みにくい」といったことをコメントいただきました。実は、入りやすい雰囲気作りに努めていたつもりだったのでちょっとショックでした。確かにその通りだし、例えば内輪で盛り上がれば盛り上がる程、外から見れば入りにくくなるってことありますものね。

 そんな訳でスギダラ倶楽部のHP、月刊杉WEB版のHPではそれぞれにちょっとした工夫を凝らし、少しずつではありますが入り安さを高めています。ぱっと見ほとんど変わらないようなのですが、例えば、スギダラ倶楽部のTOPページでは月刊杉やスギダラ家の人々のページのリンクを貼り、なおかつ見出しをつけて興味を喚起できるようにしたり、月刊杉WEB版では元々設けてあったBBSを「ご感想」という表記にして、常連以外の読者でも書き込みやすいようにしたり。結構、細かいところに手を入れているんです。熱心な読者ならばお気づきかと思いますが……。

 で、そういった涙ぐましい?努力をしているのは他の誰でもなく、スギダラ倶楽部の代表を務める南雲勝志本人なのです。つまりスギダラ倶楽部のHPと月刊杉WEB版のHP、当倶楽部にとってとても重要な役割を担っているこのふたつのHP紙面のデザインは元より、原稿のレイアウト、ページ自体の運営管理をしているのは南雲さん本人なんです。つまんない話、BBSでのいたずらの書き込みの削除作業だってそうです。HPのケアに使う時間をどう考えても捻出できるはずも無いくらい本業も多忙なのに手を抜かない、いや抜けないのです。それくらい強い想いと魂が込められているんです。そんなことをちょっと気にかけてページを改めてご覧いただきたいと思います。さすれば、その熱意に拍手伐採!のはずです。

 しかしながら、このふたつのサイト運営にも問題が無い訳ではありません。スギダラ倶楽部の方も250名近くも会員がいるとさすがに本部のメンバーだけでは充分な会員サポートができるはずもなく、入会以来全くやりとりをしていない方が大半であるし、サイト上でのやりとりも本部メンバーとごく限られた会員さんからの情報発信が中心になりがちです。

 

 
  スギダラケサイト
 
  月間杉WEB版 サイト

 本当は各地の情報の回転をもっと上げてゆきたいし、本部の方でも知りたい。できることなら各地域でのイベントや交流、情報交換も独自に進めて欲しいと思っています。幸い各地のスギダラツアーの成果もあって、自分たちの地域の情報をもっと提供してゆこうと、常に気をかけてくれるメンバーもかなり多くなってきました。

 ということで、今回は日本全国スギ曼荼羅……というわけにはいきませんが、現在スギダラ倶楽部のメンバーが杉地勢的にどのように分布して誰が取り仕切っているのかご紹介しようと思います。実は本部メンバーだってどういう構成になってるのか知らない方もいると思うんですよね。

ということで、今回は日本全国スギダラ曼荼羅・・・というわけにはいきませんが、現在スギダラ倶楽部のメンバーが杉地勢的にどのように分布して誰が取り仕切っているのかご紹介しようと思います。実は本部メンバーだってどういう構成になってるのか知らない方もいらっしゃると思うんですよね。

 
東京本部

 実はまだ本部の所在地が確保できておらず、運営の都合上、若杉・千代田の勤めている内田洋行(東京都江東区)に仮本部を設けております。

 倶楽部の代表は当然、発起人の南雲勝志(スギダラ長男)が務めております。改めて説明する必要はないですが、自身の家具デザインや景観デザインの中で各地の杉を活用してゆくことを推進しているだけでなく、杉のデザインを通して新しいデザインの概念、まっとうなものづくり、まちづくり、ひとづくりのあり方を訴え続けていますよね。その南雲さんの考えに若杉さんが共鳴し、千代田も引き寄せられてスギダラ倶楽部を運営することになってゆくのですが、話せば長いのでまた別の機会にで……。

 次に若杉浩一(次男)は本部スギダラデザイン部長として南雲さんと共に数々のスギダラファニチャーをスギスギにデザインし、世に送り出しているのですが、それだけでなくスギダラ倶楽部を始める前から会社の製品としても各地の杉材を使えないか、具体的にアクションを起こしており、現在では各地の地場産業と内田洋行のような企業が連携してできるモノ作りを進めてゆこうと暑苦しく活動しております。

 で、わたくし千代田健一(三男)が本部広報宣伝部長として会員の皆様との直接のインターフェースを取らせていただいていますが、専門は空間デザインで、南雲、若杉のスギダラファニチャーを空間の中に落としこみ、企業のオフィスや研修施設、大学の研究室等に送り出してきました。まあ、そんなこともあって広報宣伝を自らやっております。

 

 その他本部にはスギダラ系ファニチャーの設計を担当する中尾浩士とグラフィックのデザインをサポートしてくれる奥ひろこ(共に若・千代の同僚)がいます。それと皆さんもご存知の月刊杉WEB版編集長の内田みえさん(会員番号01)とその中で毎回素敵な文章を披露してくれているライターの長町美和子(会員番号02)さんという構成になっております。また、月刊杉WEB版ができてからは増田奈菜さん(会員番号08)にも最新号発刊のお知らせを皆さんにメールで配信したもらったりと色々手伝っていただいています。さらに最近では矢野真理絵、山田聖士の2名(またまた若・千代の同僚)がスギダラ事務局として会員証の発送等の仕事を手伝ってくれています。

 さて、次に各地の支部のお話ですが、スギダラマップを見ていただけるとわかるように、今のところ、宮崎、関西、秋元、秋田、東京の5支部しかありません。

すぎぼっくりを身につけた三兄弟(近日発売予定)

 
宮崎支部

 まずはスギダラの活動が飛躍的に盛り上がっていった宮崎支部。支部長は海野洋光さん(会員番号03)が務めてくれています。海野さんご自身は地元日向市で建設業を営んでいらっしゃいますが、宮崎県木材青壮年会連合会の日向木の芽会に所属していて家業をほったらかし?にして杉の普及活動にそれこそ東奔西走している方です。スギダラ倶楽部設立当初から絶やさず、宮崎の情報を発信してくれているスギダラ倶楽部には無くてはならない存在です。何と言っても海野さんのすごいところはスギからスギへと具体的なアクションを起こしているところです。今は杉でつくるスタードーム、通称スギードームの計画を進めていらっしゃいますので、近いうち皆さんへもその詳細をレポートしていただけるのではないかと思います。宮崎支部は杉の生産量全国一位であることと会員数が多いこともありますが、県全域に活動が及んでいるので広報宣伝部長も設けることができました。吉武春美さん(会員番号118)がその任を担ってくれました。そして早速先月号のスギダラ家の人々のページで上崎の記事を書いていただきました。吉武春美さんは南雲さんが宮崎県の景観デザインのプロジェクトで一緒に仕事をしている宮崎大学工学部の吉武哲信先生(会員番号74)の奥様で、スギダラ会員の中で一番と言ってもいいぐらい、スギダラのHP、月刊杉WEB版、スギダラ家の人々のブログを隅から隅まで読破しているとても熱心な方なんです。同じ広報宣伝を担当する千代田としてもとても心強い仲間ができました。。

 
秋元支部

 そして同じ宮崎県なのですが、なぜかその宮崎の中にもう一つ支部があります。それが高千穂町の秋元地区にある秋元支部です。

 支部長は今月号の「神棲む森と杉の木−神話のくに高千穂から−」を執筆いただいた飯干淳志さん(会員番号133)に務めていただいています。前述の吉武先生が行っている秋元の人々との村の将来について考えるワークショップに昨年の5月、スギダラ一派でも参加させていただいたのですが、その秋元の中心人物が飯干さんで我々が秋元にお邪魔する前から、秋元支部を結成していただけることになっており、ツアーの後まとめて7名の皆さんが入会してくれました。その殆どの人が飯干さん。要は皆さん親戚ですね。http://sugidarake.exblog.jp/2728553
 既にこれを読んでくれている読者の皆さんは、飯干さんの素晴らしい記事をご覧になっていますよね。今後も杉仙人飯干淳志さんのとてもためになるお話を読める機会が増えてゆくことと思います。

 
関西支部(吉野支部)

 ちょっと順番が前後しますが、秋元を訪れる前に行った奈良県吉野でも支部を結成しました。http://sugidarake.exblog.jp/2322084

 ことの発端は上記のブログページを見ていただければわかりますが、宮崎発の杉コレクションのコンペで知り合った狩野新さん(会員番号43)の吉野の杉繋がりで広がった輪です。そのスギダラ吉野ツアーの時は狩野さん自身が宝塚在住ということもあって、吉野支部というよりは関西支部ということでスタートし、支部長にはそのツアーでお世話になった吉野中央木材の山本三司郎さん(会員番号44)にお願いしました。このツアーで知り合った梶谷哲也さん(会員番号64)には前号まで「間違いだらけのチェーンソー選び」の連載を書いていただいてましたよね。そのツアーの時は思いつかなかったのですが、これからスギダラ伐採計画部長に就任してもらおうと思います。

 実はつい最近のことですが、同じ吉野中央木材の専務、石橋輝一さん(会員番号238)が入会してくれ、梶谷さんに代わって吉野発の連載を引き受けてくれました。次号以降が楽しみです。

 支部長の山本さん、石橋さんはじめ関西支部の皆々さん、今後ともヨロスギお願いしますね。

 
秋田支部

 昨年の10月に実施したスギダラ秋田ツアーを機に発足。支部長にはそのツアー自体をコーディネートしてくれた菅原香織さん(会員番号47)に就任いただきました。http://www.m-sugi.com/05/m-sugi_05_chiyo.htm

 菅原さんは現在、母、妻、NPO理事,NPO代表、ボランティア代表、スギダラ倶楽部秋田支部長、お囃子、PTA,町内会、子供会、父母の会、そして大学助手の12役!

1人何役までこなせるか実験中! と言うスーパーウーマンです。スギダラ支部長の中では最も支部長としての自覚を持った方かもしれません。何たって、ツアーを段取りしてる時、問合せ先に「日本全国スギダラケ倶楽部の菅原と申しますが……」と名乗って活動してくれた人ですから。

 先月号の秋田特集でも記事を書いていただきましたが、何と今号からは「あきた杉歳時記」という連載を引き受けてくれました。これで吉野と秋田からの杉だよりが毎月読めると言うわけです。

 というと宮崎からも手があがりそうですが、連載なくとも宮崎はいち早く地域情報を発信してきますからね。
ねえ、海野さん?

 
東京支部

 最後にできたてほやほやの東京支部をご紹介します。

 なぜ、本部のある東京にさらに支部を置くのか?って思う方もいらっしゃるでしょうが、手を上げる人がいればどこにでも支部はできます。今回その手を上げてくれたのはスギダラ3兄弟のデザイン関係の仲間である萩原修さん(会員番号15)です。

 萩原さんには、「東京には奥多摩に杉産地があるし、近いところには埼玉・西川杉もある。都心に近いところならではのスギダラ活動ができるんではないか」ということで、東京支部長の名乗りを上げていただきました。萩原さんはデザインに関わるイベント、セミナーなどのプロデュースや書籍の企画制作の仕事をフリーでされていて、とにかくデザイナーや建築家とのネットワークの幅広さは半端じゃありません。実はこの萩原さんは影の?広報宣伝部長とも言える人で、知り合いや仕事仲間にことあるごとにスギダラの事を紹介してくれています。萩原さんから紹介されて……という会員の方はかなり多いんです。全然関係ないサイトのBBSやブログにスギダラのことを紹介してくれる割にはスギダラの方に書き込みに来てくれないんですけどね(笑)。今後の東京支部、他の支部とどのように違った活動が展開されるか楽しみです。

 何かダラダラとしちゃいましたね。すみません。おまけに今回は締め切りに間に合わず申し訳ありませんでした。今年はさらに多くの支部結成、さしあたり鳥取(智頭)、浜松(天竜)、群馬、高知(魚梁瀬)に設けたいと思っております。誰か支部長引き受けてくれないかなー。 ち)



●<ちよだ・けんいち>インハウス・プロダクトデザイナー
株式会社内田洋行 テクニカルデザインセンター所属。 日本全国スギダラケ倶楽部 本部広報宣伝部長
   

   
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