連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第4回
文/写真 梶谷哲也
吉野の山いきが語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。
 

 さて、チェーンソーは購入されましたか?
 えっ、よく聞こえませんが、購入したことにします。手に入れたからには、早速使ってみたいというのが人情というもの。今回は、チェーンソーの基本的な使い方を書いていこうと思います。

 初めてチェーンソーを使うとなったら、やっぱりなんだか怖いですよね。どうしても腰が引けてしまうし、アクセルを握る手も弱々しくなる。でも、それではダメでして、きちんと腰を入れて、アクセルは基本的に全開で使うものと思って下さい。

 あっと、その前にエンジンはかかりましたでしょうか。前号において、エンジンをかける際に引っ張るスターターロープは引きが軽いものをお勧めしましたが、これは結構大事ですよ。スターターロープを引く時は、チェーンソーを固定することが大事です。地面におく(写真1)か、慣れてきたら股に挟む(写真2)かして引きましょう。

 チェーンソーには切るところが二カ所あります。分かりますか? バーの上側と下側です。この上側と下側をうまく使い分けて切ります。基本的には、もちろんバーの下側を使ってチェンソーを上から下に動かして切ります。しかし、木の状態や場所の制約があったりする場合は、上側を使って下から上に切り上げることもあります。
 いずれの際も気をつけることは、なるべくバーの真ん中よりも手前を使うということです(写真3)。これはこちらの方が楽なのと、なにより安全だからです。

 チェーンソーを使っていて一番怖いのは、キックバックという現象です。これは本当に危険です。
 キックバックとは、チェーンソーを使っているとき、バーの先端上部(写真4)が不用意に当たった場合、バーが跳ね上がる現象のことです。例えば、下から上に切り上げようするとき、バーの先端で行ったりすると起こります。凄い力で跳ね上がるので大変危険です。
 もちろんチェーンソー自体にも安全対策が施されていて、キックバックが起こった時は、自動的にチェーンの回転が止まるようになっていますので、過剰に恐れる必要はありません。

 さて、使い終えたら手入れをしなければなりません。
 チェーンソーは刃物です。刃物は研がなければ使い物になりません。
チェーンソーを購入したら、丸ヤスリが付属品としてついてきたと思います。これを使って刃の目立てをするのですが、そのやり方はソーチェーンの種類によって異なるので、ご自分のチェーンソーの取扱い説明書に書いてある方法に準じて下さい。

 私が目立てについて言えることは、様々な目立て補助用具(写真5)が販売店やホームセンターにあるので、それらを使おうということです。丸ヤスリは消耗品ですから、研いでいて滑るような感覚になったら交換しましょう。
 正直、目立ては難しい。それでも、チェーンソーを使うことと目立てをすることは、二つで一つだと肝に銘じてがんばって下さい。

 以上、簡単に使う際の心得を書きました。次回は、「チェーンソーを安全に使うために」と題して書きたいと思います。要望や質問がありましたら、お気軽にコメント下さい。


●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。

 

右足、左手でしっかりホールドし、地面に置いたまま右手でロープを引きます。
右手でロープを引いたとき、チェーンソーが動かないように股と左手でしっかりホールドします。
チェーンソー本体の前面にギザギザがついてますよね。そこを使って「てこ」のように切ると楽です。
この先端の上半分5センチにも満たない場所が危険地帯です!!
これらすべて目立て補助具。お好みで選んで使いましょう!

   
   
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