連載

 
間違いだらけのチェンソー選び/第2回
文/写真 梶谷哲也
吉野の山いきが語る、チェーンソーのあれこれ。プロの経験から、するどく伐り込む。
 


 先月号では、まずチェーンソーを購入するにあたって「間違えやすい」点を書いたつもりです。そこから大まかに自分にあったチェーンソーをどのように選べばよいのか書きました。

 さて、今月はより具体的にチェーンソーの選び方を書いてゆきます。チェーンソーはホームセンターではなく、販売店で買うのでしたね。さらに付け加えれば、安いからといってオークションで買うのはやめましょう。扱いに慣れた人ならよいのですが、初心者は危険です。この「扱いに慣れた」というのはオークションの扱いではありませんよ。チェーンソーの扱いです。
 では、オークションではなく、ネットの販売店で買うのはどうか。私はこれも最初の一台であれば、あまりお勧めしません。なぜならチェンソーの調子が悪くなったときに、手間取るからです。自分ではどこがおかしいのかすらわからない、そんなときにネットで購入した販売店に聞いても、なかなかわからないのですね。近所の販売店であれば、持っていってすぐに直してくれます。「近所は高い?」。大丈夫、すぐにもとは取れます。
 まず、把握することは自分が何のためにチェーンソーを買うかでした。私は、オールマイティな一台として40cc前後のチェーンソーを勧めます。でも、一口に40cc前後と言われても、実はたくさんあるんですよね。もしあなたが、ログハウスを作りたい、チェーンソーで彫刻したいというのであれば、丸太を縦に挽く必要があるので、45ccくらい、もしくはそれ以上のチェンソーが必要になります。ボランティアなどで山の手入れをしたいというのであれば、35ccくらいからそれ以上でお気に入りを見つければ良いと思います。
 排気量以外にチェックする点を挙げると、重さです。ほぼ同じ排気量で見てみると、結構メーカーによって差があります。もちろん、軽い方が良いです。ある特定のブランドのチェーンソーが欲しい場合も、大は小を兼ねるとはいえ、軽いものを選ぶことをお勧めします。
 ただし、軽すぎるチェーンソーは私はお勧めしません。トップハンドル型というものがあります。これは林業の世界では枝を落としたりする際に使うものです。チェーンソーで彫刻する場合は、細かい作業が出来るので重宝するものです。ですが、このトップハンドル型は軽く扱いやすいが故に、かえって危険な場合があります。このタイプは限られた用途でのみ使うべきものでしょう。
 最後に私が実際に使用しているチェーンソーを書きますと、コマツゼノアG3700、G3200です。この2台以外にも持っていますが、この2台でことが足りる場合が多いです。私がコマツゼノアを使っている理由は、勤務している森林組合で販売しているからです。一番、近い。故障してもすぐに見てもらえる。これに尽きます。皆さんもこのことを念頭に入れて購入してみてください。
 次回は、カタログを見て気になるチェンソーのバーや、チェーンについて書きたいと思います。


●<かじたに・てつや>吉野の山仕事師
奈良県吉野で山仕事を本業とするかたわら、チェーンソーアートを中心に「杉の木を使ってできること(出来杉計画)』に取り組む。

 

トップハンドル型のチェーンソーです。非常に軽く快適に仕事できますが、扱いには注意しましょう。

この物置小屋は37ccのチェーンソーで立木を伐り、ノッチを組むところまで全てやりました。すみません、総ヒノキです。

コマツゼノアG3700 :山仕事からチェーンソーアート、DIYまで、ちょうど扱いやすいチェーンソーです。

コマツゼノアG3200 : 軽い割にそこそこ力があります。女性が森林ボランティアなどで使うのに最適ではないでしょうか。

   
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